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ワークマンはなぜ2倍売れたのか|書籍紹介





 

ワークマンはなぜ2倍売れたのか

ー 商品を変えずに売り方を変えただけで ー

酒井大輔 著 / 日経BP

2020年6月29日 初版

 


先日こちらのブログでも書かせていただいた、

ワークマン(WORKMAN)について書かれたもう一冊の書籍をご紹介したいと思います。





前回の『ワークマン式「しない経営」』は、ワークマンの急成長の仕掛け人、その張本人である専務取締役 土屋哲雄氏による、経営理論とノウハウがすべて詰め込まれたビジネス書でした。

今回は、日経クロストレンドの記者である酒井大輔氏が、取材を重ね外部からみたワークマンが急成長する姿(2020年6月時点)をまとめた書籍になります。



この本を読み終わって思い浮かべたのは、元ネスレ日本 社長兼CEOの高岡浩三氏が仰られている、

これからのマーケティング

 1)ニュース、話題をつくる。

 2)教えたくなることをつくる。

という仕組みをうまく実践されているように感じました。



「人は、騒がれていたり、盛り上がっていたり、しないと店に行こうとはならない。」

という人間の心理(本質)をしっかりと見極めているように感じます。


この書籍の中には、まだまだ第2、第3のワークマンプラスの構想もあると書かれていますので、これからもドンドン仕掛けられていくのだと思うと楽しみになります。


では、下記に私的に要点をまとめてみました。




▼ワークマンプラスの売上高は、ワークマン既存店平均の2倍。


 商品を変えずに売り方を変えただけで、2倍売れた。

 1)アイテムのセレクト(1700アイテム → 320アイテム)

 2)見せ方を変更「空間戦略」(マネキン使用、照明変更、陳列方法変更など)


 女性客が半数を超える。(ワークマン女子)「顧客拡大戦略」が成功




▼出店も加盟店募集も「ABテスト」の徹底


 同時期に出店し、差分を見る。

 出店にしても、加盟店の募集広告にしても、ABテストを繰り返しデータを蓄積




▼サプライチェーンの革命


 調達から販売、在庫管理に至るまで、サプライチェーン全体の最適化を図り、日本初のシステムを形にした。

 ムチのSCM(コンビニ)ではなく、善意型SCM(ワークマン)という仕組みづくり。

(SCM:サプライチェーンマネジメント)




5年で目標全達成、成果が出る組織づくり


 ー2014年に掲げた「中期業態変革ビジョン」ー

 1)社員1人当たりの時価総額を上場小売企業でナンバーワンに

 2)新業態の開発

   ①「客層拡大」で新業態へ向かう

   ②「データ経営」で新業態を運営する準備をする

 3)5年で社員年収を100万円ベースアップ


 時価総額は株主用に書いただけ。実際に目指したのは、2)の客層拡大とデータ経営


 計画ではなくビジョンと名乗った。計画には期限がありだいたい守られない。ビジョンには期限がない。

 必ずやる。言い続ける限り達成できる。(土屋哲雄氏)




目標達成のために変えたこと7割。変えなかったこと3割。


 ー変えたことー

 1)オペレーションエクセレンシーからプロダクトエクセレンシーのSPA(製造小売り)企業へ

  (オペレーションエクセレンシー:運営力至上主義、プロダクトエクセレンシー:商品力至上主義)

 2)前例踏襲の経営から何でもデータを見て変えていく経営

 3)本気の経営 ー言ったことは必ずやるという、すごみを見せる

 4)トレードオフ経営 ー頑張る代わりに何かを捨てる


 ー変えなかったことー

 1)標準化経営 ー店舗の標準化(売り場100坪、品揃えから店内業務まで全てマニュアル化)

 2)ローコスト経営(仕入れ品の原価率目標65%、家賃3%、営業利益率10%以上)

 3)やらないことが決まっている経営(歓送迎会など社内行事、業界団体加入、仕入れ先接待、海外展開)

 4)ステークホルダーは長期固定 ー親友を裏切らない


 大躍進を遂げた最大の理由 = 商品力(プライベートブランド商品力)が目覚しく伸びたことに尽きる。

               プロダクトエクセレンシー(商品力至上主義)に社内の価値観を変えた。




小売りの未来へ3つの提言


 1)No! 同質経営(Me Too)、独自のポジションを築く(日本の経営は同質経営、同質競合が多すぎる)

   独自のポジショニングがこれまで以上に重要。他社との差異化(ブランディング)

 2)時代の変化を先取り

   アンバサダーマーケティング(最重点)。ワークマン愛用のインフルエンサーをアンバサダーに任命。

 3)愚直に方針を徹底

   クリック&コレクト(店舗受け取りの仕組み)が本命。Amazonに負けない仕組み。ずっと信じてやり続ける。




ワークマンの急成長の秘密が書かれた書籍をこれまでに2冊読ませてもらいました。

しかし、いまだワークマンのお店に足を運んだことはありません。

次回は、実店舗に出向いてワークマンの魅力を体験してきたいと思います。






 

ブランドデザイン研究所 / BRAND DESIGN Labs



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