博報堂デザインのブランディング
永井一史 著 / 誠文堂新光社
2015年10月18日 初版
博報堂デザインのブランディング / 永井一史 著
をご紹介します。
こちらの書籍は5年ほど前に購入したもので、今回あらためて読み返してみました。同じ書籍であっても、いつ読むかによって内容の捉え方が違ってくることがあります。5年前はまだブランディングをかじり出した頃で、ブランドマネージャー認定協会の1級資格を取得している現在に読んでみると、さらに理解の深度が深くなったと感じました。
永井一史さんといえば、日本を代表するアートディレクター/クリエイティブディレクターの一人でありながら、HAKUHODO DESIGNの代表取締役社長でもあります。個人的には2005年頃に資生堂の企業ブランディングとして展開されはじめた「一瞬も、一生も、美しく」の広告シリーズが印象的で今でも心に残っています。
この書籍は、HAKUHODO DESIGNのブランディング・メソッドを豊富な事例(ビュジュアル)とともに紹介する一冊になっています。
博報堂デザインのブランディングの概念は、
【送り手の意志】=【受け手の期待】
双方向の関係性を成立させていくこと。
企業や商品自らの存在や価値を社会と結びつける方法として、ブランディングが取り入れられます。
【ブランディング・メソッドのプロセスと考え方】
○大きく2つのフェーズでブランドのあり方を考えていく。
①思考のデザイン([インプット][プランニング])
:ブランドの「思い」を導き出して価値として規定する
②カタチのデザイン([アウトプット])
:思いを具体的なアウトプットにして世の中に届けていく
○デザインによるブランディングの3ステップ
[インプット] → [プランニング] → [アウトプット]
あっけないほどのシンプルさに拍子抜けしたかもしれないですが、
一つひとつのステップを丁寧に踏んでいくことが大切です。
[インプット]における5つの視点
①歴史性:ブランドのオリジン(原点、起源、発端)にさかのぼる。
①機能性:何の仕事、どんな商品なのかを考える。
①文化性:どんな豊かさやライフスタイルを提案できるかを考える。
①社会性:ブランドがどう社会に役立つかを考える。
①関係性:ブランドと生活者との関係性を考える。
[プランニング]における視点移動(立体的な視点)
[鳥の目・虫の目][主観・客観][過去・未来][引き・寄り][現実・理想][大きな単位・小さな単位]
【実際のブランディング事例の紹介】
・サントリー「伊右衛門」
・HITO病院
・IKIJI
・資生堂
・リーガル
・TAP PROJECT
・六本木ヒルズ10周年
・パレスホテル東京
・日本郵政グループ
・MIRAI DESIGN LAB.
・住友林業
・日本郵便「年賀状リブランディング」
・RING BELL
・表参道ヒルズ
・東京大学 i・school
・21 KOMCEE
・日本文化デザインフォーラム
【まとめ】
◎ブランドは「思い」がすべて。
◎ブランドの本質は、実は「見えない部分」にある。
◎ただ「一点」の最適解を探す。
◎正しいだけでは、人の気持ちは動かない。
◎自己表現ではなく、必然を表現する。
ブランドデザイン研究所 / BRAND DESIGN Labs
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